金属ガラス中の組成-構造揺らぎ

異常小角散乱による多元系金属ガラス中の組成揺らぎの検討

Zr基のバルク金属ガラスは内部に組成揺らぎを内包していると考えられているが、その実測は困難である。我々は異常小角散乱を用いた化学的なコントラスト変調法(通常のASAXS法)により、結晶化前の多元ガラス中に弱い組成の揺らぎが存在することを見出した。異常小角散乱により組成揺らぎの方向を検討した結果、その方向は結晶化によって生じる組成変化の方向とは異なっていることがわかった。 

準結晶を析出する多元金属ガラス合金の評価

Zr-Cu-Pt/Pdアモルファス合金は熱処理によりナノ準結晶が生成-成長する。In-situ小角散乱測定から、クラスターの成長キネティクスを調べた。また、小角領域よりやや外側に準結晶形成によるピークが現れ、その結晶子サイズは小角散乱による組成変化サイズと比較して必ず小さくなることが示された。 これはナノ準結晶界面領域は組成変動は起こっていても構造は乱れていることを示唆している。(H.Okuda et al., J.Phys.Cond.Matt.Conf.Ser..)また、ナノ準結晶形成に伴う組織変化がCongruentであるかどうかをZr-Pt系でのASAXS解析により明らかにしました。(H.Okuda et al., J.Appl.Cryst. 2008)


高エネルギーX線小角散乱によるひずみコントラスト変調散乱

110keVのX線により、厚さ2mmの曲げた梁の圧縮/引張側での差分強度より母相と揺らぎ部分の硬さの違いによる散乱密度コントラスト変化を検討した。得られた結果はCuーK吸収端を利用した異常小角散乱と整合性があることが明らかになった。(H.Okuda et al., Mater.Trans.2015)